外壁塗装工事は激安価格だときちんとした仕事が出来ないのです。

格安の外壁塗装業者にありがちなアピール分として、「安く出来たのは、人件費や営業費を限りなく抑えることが出来た」「大量仕入れにより仕入れ値を安くしている」などを挙げますが、そもそもそれらの企業努力ではそこまで価格を下げることが出来ないのです。

まず人件費ですが、日本には最低賃金というものがあり、人間が働く以上はお金を支払う必要があります。20代の初任給が月18万円で、40代の塗装職人だと月30万円は超えるのです。そのような人間を毎日複数名現場に向かわせて、足場を組立させたり、下地処理をさせたり、洗浄、塗装作業をさせるのです。短くとも2週間かかる外壁塗装工事では人件費は普通にやればへらしようがないのです。

それでも減らしたい時はどうするのかというと、「工期を短くする」ということになります。言い方を変えると、手抜き工事をすると言う事です。1日以上かかる下地の調整や下塗りの作業などを数時間で終わらせればその分人件費が浮きますし、下塗りの上に上塗り一回だけにしておけば、塗装一回分の時間と塗料代が浮きます（本来上塗りは2回で、全部で3回塗る必要があります。）

また、「大量仕入れにより塗料を安く仕入れている」という殺し文句ですが、こちらも塗料店によって仕入れに差はほとんどありません。少なくとも安全である事が間違いない大手塗料メーカーの塗料は設計価格（塗装業者の手間賃込みの顧客用の価格）も設定しているので、ズルができない仕組みになっています（メーカーのホームページや問い合わせで確認出来ます）。つまり、大量仕入れにより格安で工事が出来るほど安くなっているのであれば、よく分からない塗料メーカーの製品である可能性が高いのです。そもそも1つの塗料当たり600種類ぐらい色があるものを大量仕入れしながら全色そろえるというのは現実的に難しいです。

工程を省いたり、よく分からないメーカーの塗料を使う、もしくは薄めて使うなどの工事は間違いなくうまくいきません。数年後には壁が剥がれてくることになります。

外壁塗装工事には事務費用、人件費、材料費、足場代、運搬代など最低限かかるお金があります。ボランティアでもない限りはどうしても安く出来ないラインがあるのです。出来るだけ外壁塗装工事を安くしようというのは誰もが思うことなのですが、家に長く住むためのメンテナンス費用と考えてきちんとした適正価格の工事業者を選びましょう。